対談という手がズルい人生哲学「その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。」

その悩み、エピクテトスなら、こう言うね
フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

書店のお手伝いが高じて書店愛好家になりました。決して読書家でも研究者でもありません。本を書く人が好きなのです。

今日ご案内する本は哲学の本です。むつかしいだろうって。いやいや掛け合い漫才です。

その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。: 古代ローマの大賢人の教え

エピクテトスとは1900年ほど前に奴隷の子として生まれ、自由の身となり、やがて哲学の教師になるという数奇な人生を送った奴隷の哲学者です。

言行録『人生談義』でエピクテトスは、弟子や来訪者から寄せられた
数々の人生相談に、的確な答えを繰り出していく。
悩める現代人にも十分通用するその教えを、とことん分かりやすく解説。
不安なく前向きに生きるための知の技法がするする頭に入る、類例のない一冊!

権内と権外

権内とは自分の力でどうにかできること。権外とはどうにもできないこと。その区別ができるかできないかか重要だと言います。

哲学をテーマにした本は、言葉の定義づけを頭に入れないと話についていけませんが、本書は誰にでもわかるように平易に平易に解説していくところに魅力があります。

私たちを取り巻く悩みのほとんどは、「自分でコントロールできるものとできないものとを区別できないこと、つまり混乱から生じている」。だからどうにもならないものを嘆いても仕方がないじゃないか。

今流行りの自己啓発書に書かれたエッセンスが、1900年前に生きた哲学者によって語られていたというのも驚きです。

やっぱり古典は読むべきだという気にさせられます。

とはいえ、語学の知識もなく、哲学的な素養もなく、歴史的な事実にも疎い私のような凡人が古典を読み解くのは至難の業。翻訳者であり解説者兼コーディネーターのようなガイドが絶対に必要になります。

本書は、その役割を十分理解した上で、掛け合い漫才のようなボケとツッコミを入れながら読者を知の世界に導いていくれるところに価値があると思います。

山本貴光さん

著者の一人山本貴光さんとは昨年二子玉川 蔦屋家電で開かれたトークイベントでお話を聞く機会があり、様々な気づきをいただきました。

山本さんはコーエーでゲーム制作に従事後、文筆家となった人です。読者側の視点で問題を捉え解決を探る姿勢は高い評価を受けています。

フルタニDの街歩き「本屋の魅力を語りつくす」二子玉川 蔦屋家電・出版トークイベント | futakoloco

週に6日は書店を巡るという山本さんは、世界中の本が簡単に手に入るネット書店にはない魅力が、現物の本を並べるリアル書店にあると考えています。

「同じ書店に何度も通うと、前に来たときと棚に並べられた本が変わっているのがわかります。書店とは、絶えず手入れされ続ける”庭園”のようなものです。また、訪れる人にとっては、知っているものをきっかけに、自分がまだ知らないものを発見できる空間でもあります」

マイルドに語る山本さんのふるまいはジャッキー・チェンの酔拳に出てくる先達そのもの。頭の強い人とはこういう人を言うのだなとファンになりました。

平易であることを中心に述べたが、決して中身がスッカスカであるということではない。
この手の初学者向けの本にありがちな、話を端折っているだけで結局よく分からん、みたいなことは決して無い。
各ジャンルの入門書が、本書ほどに丁寧かつ平易な書き方がされていたら、日本の知の底上げが実現できるんだろうなぁと思う。

Amazon書評より

著者の山本貴光さんと吉川浩満さんがライター・編集者の斎藤哲也と語るイベントがABCこと青山ブックセンターで開かれるというので楽しみにしていました。

残念なことにトークイベントは中止になりましたが、本を読む楽しみとは著者を知る楽しみ。人間の奥深さを知る楽しみだと思います。改めて機会が訪れることを期待します。