
放送局の仕事は基本日本語です。はやり言葉は周回遅れで使うのが普通で、わかっていても自分から使うことはありません。ヨコモジも同様。わざわざ英語で言わなくても、クラスターは「集団感染」、オーバーシュートは「感染爆発」、ロックダウンは「都市封鎖」で言い換えられます。
クラスターを日本語でタイトルにした今から10年前書かれたサスペンスに注文が殺到。品切れになりました。
10年前の予言「首都感染」

内容
二〇××年、中国でサッカー・ワールドカップが開催された。しかし、スタジアムから遠く離れた雲南省で致死率六〇%の強毒性インフルエンザが出現! 中国当局の封じ込めも破綻し、恐怖のウイルスがついに日本へと向かった。検疫が破られ都内にも患者が発生。生き残りを賭け、空前絶後の“東京封鎖”作戦が始まった。
評論家の栗原裕一郎さんが東京新聞の書評欄で「パンデミック考」として紹介したことから脚光を浴びた本です。版元の講談社は”異例の対応”で急遽1万部増刷したそうですが、行きつけの書店でもかなりの客注が寄せらたと聞きました。
それもそのはずです。小説の中では、航空機で帰国した人たちのホテルへの隔離や学校の一斉休校、人気遊園地の休園など、現実に起きた出来事が克明に描かれているのですから、誰が見ても気になります。
反響
作家
著者の高嶋哲夫[1] … Continue reading産は、医学者ではありませんが科学の世界で生きてきた人なので事実に基づいた表現にこだわっているところがリアルさに繋がっているのでしょう。
『ものを怖がらなすぎたり、怖がりすぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなかむつかしい』と言ったのは寺田寅彦ですが、同じような視点が作中に貫かれています。
「敵はウイルスです。決して、姿の見えない怪物ではありません」作中で活躍する内科医は語ります。
バッドエンドを迎えるのは物語の中だけにして、人類の英知を集結してハッピーな結末を切り開きたいものです。
「このような状況の中で増刷することに複雑な思いもあります」と前置きした上で「『首都感染』は、ウイルスがどのように感染していくかを知ることのできる作品です。多くのデマ情報も飛び交う中、一つの心の準備として、ぜひ手に取っていただけたらと思います」 https://news.livedoor.com/lite/article_detail/17909535/
作家・高嶋哲夫(Hollywood Project)さんの投稿 2020年3月3日火曜日
References
↑1 | 日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)の研究員を経て米カリフォルニア大に留学。帰国後、執筆活動を始め、米国で暮らす日本人の姿を描いた「帰国」で1990年に北日本文学賞を受賞。94年、米国の核問題をテーマにした「メルトダウン」で小説現代推理新人賞を受けた。「M8」「首都崩壊」など著書多数。慶応大大学院修了。 |
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