
ドラマにせよ、ドキュメンタリーにせよ、テレビは描かれる家族なくしてはなり立ちません。
その家族を構成するのは決まって、働くお父さんと家事をまかなうお母さん、そして二人の子どもからなる四人家族でした。
私たち番組制作者は、ながらく家族は4人であたりまえと思ってきました。
伝統的な価値観を否定しようという意図はまったくありませんが、その考え方は統計的に見ても修正した方がよさそうです。
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“4人家族”は絶滅危惧種
なかには「サザエさん」や「渡る世間は鬼ばかり」のような大家族もいますが、4人家族は国民生活全体の縮図としてイメージが定着してきました。
ところが標準世帯[1] … Continue reading は日本の総世帯数の4.6%しか占めていないのだそうです。
では、現在標準の世帯構成とはいったい何人なのでしょうか。
昭和49(1974)年には、このような世帯が14.6%と最も多く、まさに「標準世帯」であった。しかし、その後世帯構成は変化し、現在最も多いのが1人世帯・無業(13.7%)であり、次いで1人世帯・有業(15.7%)、2人世帯・無業(13.7%)と高齢者や単身者の多さが窺われる。
富士通総研 経済研究所 主席研究員 榎並利博 週刊ダイヤモンド2019.09.21
単身、もしくはふたり暮らしが、実は平均的な日本の家族像なのだと聞き、改めて驚きました。
サザエさんも、わた鬼も、ちびまる子ちゃんも、正確な家族像を映し出していなかったのです。
正確な家族像が反映されていないとするなら何が起こるのでしょう。
ホームドラマやドキュメンタリーが映し出す家族像は現実ではなく、幻を描くことになります。現実にはない家族像が一人歩きすることで、テレビは秩序の歪みに荷担することになるかもしれません。
実際、国が行う調査でも標準世帯という言葉が使われ続けているため、国民生活のデータを正確に把握できていないといいます。
国税庁では低所得者の所得が把握できていないため、給付付き税額控除など低所得者を支援する仕組みも実現できない。
富士通総研 経済研究所 主席研究員 榎並利博 週刊ダイヤモンド2019.09.21
テレビはもう、「家族は4人があたりまえ」というステレオタイプをやめた方がいいと思います。物語は作りにくくなるかもしれませんが、圧倒的多数である単身やふたり暮らしが家族の姿と仮定して、その中で少数になってしまった4人家族の姿を描いていくことが重要です。
まとめ
これまで「標準」と思い込んできたことがらを見直し、自分の頭で考えて見ることが伝える側の役目ではないかと思います。
週刊ダイヤモンド
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References
↑1 | 夫婦と子供2人の4人で構成される世帯のうち,有業者が世帯主1人だけの世帯に限定したものである。この世帯概念は昭和44年から46年までの「標準世帯」及び47年以降の「4人世帯(有業人員1人)」と同じである。なお,昭和43年まで,「4人世帯(有業人員1人)」の結果表を掲載していたが,44年からのものは上記のように範囲を狭めている。:総務省統計局 |
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