
番組づくりは人にはじまり、人に終わるとよく言われます。
新しいモノや情報は生まれるとすぐに劣化します。ところが情報を生み出す人間はつねにアップデートを繰り返し、あたらしいものを生み出すからです。
30人の人生を辿りながら、人生の背景にある時代を浮かび上がらせた本があります。
Contents
「わたし」と平成 激動の時代の片隅で
Yahoo!ニュース 特集編集部 (フィルムアート社)
Yahoo!ニュース 人気企画、待望の書籍化! プリクラの開発者、新橋の靴磨き、戦争の語り部、被災者、老舗喫茶店主、離島の灯台守、ホストクラブ経営者、遺品整理業、94歳の現役助産師、救命救急士……30人の語るそれぞれの30年を通じて、平成という一時代の終わりとその先を見つめる。朝井リョウ、DOZAN11(元・三木道三)、森達也の特別インタビュー掲載。
登場する人物の職業を見ればわかるように仕事の輪郭が明瞭です。サラリーマンと聞いて感じるような没個性的な響きはありません。長い時間をかけて関わり続けた仕事が、その人の人生を形作り、仕事を通じて時代が見えてくるのです。
書店には、こうした仕事と人生に向き合う本がごくたまに現れます。連想するのが晶文社から1983年に発行された「仕事(ワーキング)!」
辞書ほどの大きさがあり、重さも一キロ以上はあるだろう。内容は、新聞配達、電話交換手、消防士、売春婦、政府広報担当官など、115の職業の人たちの「生」の声を赤裸々につづったものだ。
著者のスタッズ・ターケルはアメリカの作家。テレビ番組のホストとして活躍しながら、「口述の歴史(オーラル・ヒストリー)」と呼ぶことになる独自のインタビューのスタイルを確立していった人です。
刺激的な仕事も、地味な仕事もそれぞれの人が経験した唯一無二なエピソードがあり、かけがえのない価値がある。読みすすめるうちに、読んでいる自分自身が自分自身のかけがえのなさに気付かされる本です。
週刊エコノミスト
2019.03.26号が紹介した話題の本
- 雇用身分社会の出現と労働時間: 過労死を生む現代日本の病巣
- 最後の頭取 北海道拓殖銀行破綻20年後の真実
- ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか
- 科学と非科学 その正体を探る
雇用身分社会の出現と労働時間: 過労死を生む現代日本の病巣
規制緩和の果てに労働基準の底が抜けた!
まともな働き方(ディーセントワーク)の実現を目指して雇用と労働時間を問い続け「過労死防止法」の成立に尽力した著者が遺した警世の書。
最後の頭取 北海道拓殖銀行破綻20年後の真実
ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか
ドイツ人の平均可処分所得(手取り)は年290万円と意外に低い。しかも、消費税(付加価値税)は19%と高い。にもかかわらず、多くのドイツ人が「生活に満足している」のはなぜか?
いっぽう、サービスが行き届いた世界一便利な国・日本で、日本人の多くが生活に「ゆとり」を感じられないのはなぜか?
ドイツ在住29年のジャーナリストが肌で感じた「ドイツ流・お金に振り回されない」生き方を明らかにした一冊。
科学と非科学 その正体を探る
本書は、科学と非科学のはざま、言うならば「光」と「闇」の間にある、様々な「薄闇」に焦点を当てた本である。「科学的」なものと「非科学的」なものは、そんなに簡単に区別できて、一方を容赦なく「断罪」できるのか? 「科学的な正しさ」があれば、現実の問題はなんでも解決できるのか? 何が「真実」で「異端」なのか? 分子生物学者が科学の可能性と限界を見つめ、私たちが生きる意味をも捉えなおしたサイエンスエッセイ